
今年はフィリップ・ベルさんの回に参加。ベルさんはショコラバリー、ヴァイスを経て独立されたそうで、本店はモンブリゾンですがリヨンに2号店をお持ちです。フランスでもショコラのベースから自分で作成されるショコラティエは少ないのですが、その数少ないうちの一つがベルさんのお店。
実はベルさんのセミナーには2年前に参加させていただいています。その時はショコラの製造過程を順を追って詳しく話され、実直な職人気質の方なのかなぁという印象を持った記憶があります。また、リキュールそのものが入ったようなリキュールボンボンはお酒とショコラが両方好きな人にとってはたまらない味でしょう。
(2年前の記事:サロン デュ ショコラ セミナー「フィリップ・ベル」)
ベースのショコラの作り方は前の記事に譲りますが、強調されていたことは、カカオの実が食べられるようになるまでかかる手間ひま、そしてカカオ産地と消費国との生活水準の差…。

今回の試食は大きく分けて2つ。まずは砂糖を加えていない「ショコラの素」を。奥左から白いものカカオバター、そして黒いものがコートジボワール産、ヴェネズエラ産、サオトメ産のカカオマス…カカオマスはいずれも砂糖なしなので、いかにもおいしそうにツヤツヤしていますがとても苦いです。これらの「利きショコラ」をして特徴の違いを実感します。
カカオバターとは豆をプレスして絞り出て来るもの。搾りかすがココアパウダーになります。カカオバターは例えばリップスティックなどの化粧品に使われていますが、体温(37℃)で溶けるため昔は座薬に使われていたのだとか!味わいも、甘くない、ホワイトチョコの風味を持った油ですね。ショコラを作る際、カカオマスに砂糖を加えるだけでは硬いので、カカオバターを加える必要があります。ショコラノワール(ビターチョコレート)はカカオマス、砂糖、カカオバターで構成されています。
コートジボワールは一番オーソドックス。「食べ慣れたチョコ」の味で最初から最後までフラット。
ベネズエラはスモーキーさと華やかさ両方持っています。香りも味も食べてしばらくしてじわじわ来るような感覚です。
サオトメはもっと野生的で攻撃的。酸味も強い。
カカオの種類は、フォラステロ、トリニタリオ、クリオロの3種類があります。アフリカはフォラステロ種の栽培が多い、力強く男性的なイメージ。トリニタリオはクリオロの繊細な香りとフォラステロの力強さを合わせ持っています。そして希少なクリオロは香りの良さにトマトのような酸味などが特徴的です。
カカオの生産が多いのはコートジボワールとガーナ。南米ブラジルはプランテーションが病気で一度打撃を受けたのですが、最近また復調して来ているとのこと。アジアではインドネシアが主要生産国です。また、カカオ豆を焙煎する時の温度も産地によって差を付ける(中南米のものは香りが繊細なので、温度が若干低めなど)
なお、アジアはカカオの代わりにもっと高く売れるヤシの実が植えられるようになって来ているようですが、ショコラ好きとしてはちょっと寂しい気もします。

こちらは次の試食。ベルさんのボンボンショコラから3種類を試食できるのです。食べる順番までレクチャーを受けています。
ショコラは脂肪分が豊富で生クリームも使用されていることもありますので、適温は20〜23℃の室温。20℃以下で食べるのはオススメできないとのこと。今回はプレゼンの途中で配られ、まさに「食べ頃」。
まずはフレーズココ(手前)。ココナッツのガナッシュにイチゴ(フランボワーズ?)のパート・ド・フリュイの2層で構成されています。表面のココナッツファインが食感と風味のいいアクセントです。ココナッツが強すぎてバランスを崩すということもなく、美味しいです。
次にSDC10周年記念として作られたコリアンダーのプラリネとライムのガナッシュのボンボンショコラ(真ん中)。
ライムがキリッとしていてプラリネなのにすっきり。ライムのガナッシュの層の方がちょっと厚いような気がします。
そして最後にセミリキッドキャラメルからキャラメルカフェ(奥)。
中には流れ出るようなキャラメル!コーティングは厚めでショコラの香りや苦味もしっかり残ります。半円のドーム状にセミリキッドキャラメルが入ったものはよく見かけますが、こうしたきれいな円形のものはフランスのショコラでは比較的珍しいような気がします。
ブースで販売されていたセミリキッドショコラは水曜日(初日)に売り切れてしまったようです。来年買おう…。この日は開催4日目でしたが、この時点で10種類のうち8種類売り切れており、リキュールボンボンとボンボンショコラ詰め合わせしか残っていませんでした。会期中売り切れ御免なのは仕方がないですが、これでは欲しくても買えなかった人がたくさんいたのでは…売れ筋だけでも来年はもっとたくさん仕入れて欲しいものです。
しかしそれも、ベルさんのブースが大盛況だった証拠の一つではないかと思いますので、そのことは何よりです。SDCが終わってもヴァレンタインまでの期間はベルさんのショコラの一部は買えるようです。
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