さて、今回は私が台湾で最も楽しみにしていたことの一つ、「茶藝」について。日本式のお茶、お点前、ティーセレモニーはお師匠さんについて伝授してもらうことが一般的だと理解しておりますが、台湾式のお茶はそこまで堅苦しいものではないです。…と旅行ガイドにも書いてありました(笑

1軒目は来来大飯店(シェラトンホテル)のある善導寺駅から歩いて数分の「徳也茶喫」。日本の台湾ガイドには必ずといっていいほど紹介される茶館です。日本語メニューがあり、お洒落でゆったりとくつろげるのがその魅力なのだと思います。
おやつの時間にはちょっと遅い、夕飯前の時間にさて。とメニューとにらめっこして決めたのが、文山包種茶、凍頂烏龍茶、佛手茶。もちろん工夫茶(急須で淹れて飲む)スタイルでいただきます。

自分でやりますか?と聞かれたので、まずは本場でのお点前を拝見することにします。初めて台湾に旅行してからというものの、茶藝用の茶器を購入し自宅で楽しんではいるんですけどね。やっているうちにどんどん自己流に(簡素化されて)なっている気がします。

まずは茶器一式を温めます。急須(茶壺というようです)から茶海、聞香杯、茶杯にお湯を注ぎます。

急須に茶葉を投入。この時点で急須が温まっているため、お茶っぱの香りが立ってきますのでそれをまず嗅ぐ、という作業があります。

お茶の葉にお湯を注ぎますが、1回目はお茶の葉を開かせるためで、飲まずに捨ててしまいます。でもその「お茶」も無駄にはせず、

まず茶海に注ぎます。急須のお茶は一度茶海に注ぐのですが、これはお茶の濃度を均一にする知恵でしょうね。日本茶の場合はすべての杯にちょっとずつ回し入れて均一にしていますので。端っこから汲んでいくと、最初と最後がひどいお茶になるもんね(爆

聞香杯、

茶杯の順に移して行き、

最後はまた急須の上にかけ流します。そして、聞香杯の香りを嗅ぐ。この「香りを聞く」という作業が独特ですよね。お茶を飲むためではなく香りを嗅ぐための杯が用意されているのですから。

そしていよいよお茶を淹れるのですが、2回目の抽出を20秒、3回目は30秒…と10秒ずつ延ばしていき、5回まで楽しめるとのことでした。

2回目の抽出からは茶海からみんなの聞香杯に注ぎ、各自で聞香杯から茶杯へ移します。茶杯を聞香杯にかぶせてひっくり返すというやり方もあるようですが、普通に注いで大丈夫です。ちょっと垂れるくらいですから。時間をかけて淹れたお茶のおいしいことといったら!七輪のような火種の上に置かれたやかんも静かに湯気を立てていて、ゆったりとした時間に感じられます。
この写真で淹れているお茶は文山包種茶です。私の好きな中国茶ナンバー1、2を争うお茶ですね。発酵度合いは中国茶の中では低めであっさり、さっぱり飲みやすい味。その香りはよく「蘭」に例えられるようなのですが、蘭の香りってあんまりピンと来ないよね。華やかでフレッシュで、花のような香りがするけどスッと消えてキツくない…そんな感じです。

5回飲み終わったら、お茶っぱを捨てて新しい葉に替えます。ここでは他の種類の葉…ということになるのですが、急須を替えるようなことはしないのですね。いいのかな?と思いましたが、1杯目を飲まずにかけ流すのでとも洗いになるし、気にしないことにしました。実際、香りが混じってるとか、そんな残り香を利き分けられる繊細な嗅覚はないしね…(笑
今回は文山包種茶、凍頂烏龍茶、佛手茶の順で飲みましたが、この順番は発酵度合いの薄いものからだんだん高いものへと移行させていくことになっているみたい。発酵が強い東方美人などはほとんど紅茶のように感じられるので、やはりそういう「強い味」のものは始めに持って来ない方がいいんでしょうね〜。
実はここには12年前に来たことがありました。その時も個人ツーリストのバイブル「地球の歩き方」に掲載されていたお店でしたが、その時の記憶よりずっと洗練され、清潔さも増したような印象がありました。

(12年前のPhoto)
やかんもねえ、例えて言えば高校生の体育会系クラブで給湯用に使うような何の変哲もないやかんだったような気がするんですが、心なしかそれもちょいとお洒落になったような感じ(笑
また、物販スペースも設けられていて…これは当時あったかなかったか定かではないなあ。。ただ、私の記憶にはございませんでした。
この「茶藝」が好きすぎる私は今回の訪問でこの1軒に留まらなかったのですが…長くなってしまったので続きはまた後で。2軒目は徳也茶喫と同じく旅行者が安心して楽しめる雰囲気を持つ「回留」です。