前回までの記事:
新潟〜会津ふらりリベンジ旅(新潟)
新潟〜会津ふらりリベンジ旅(会津)
写真に魅せられて、只見線の旅(乗車)

会津川口から新潟方面の只見駅に至るルートは只見線が長く運休している区間です。その他の只見線ルートと比べると、さらに標高の高い山あいを行く区間のように見えます。
度々水害に見舞われている奥会津ですが、水から受ける恩恵もあって、一つは稲作に必要となる豊富な水量でしょうし、もう一つ珍しいものが、会津大塩駅近くにありました。

それがこの「天然発泡」のお水。要するにガス入りミネラルウォーターですな。aQaizuという銘柄で商品化されていますが、その源泉の一部が開放されていて、誰でも立ち入り可能になっています。

井戸のようですが、ひっきりなしにボコボコとガスの上がってくる音がします。きっと夜でも賑やかなんでしょうね。

ヤカンで汲みあげてみます。
マグカップが置いてあるので試飲…確かにボトルされたaQaizuと同様に細かい泡が楽しめますが、水質のせいなのか汲み上げ方のせいなのか、金属臭が強く源泉から多くは飲めませんでした。お話を聞いたところでは遠くから汲みにくる方もいらっしゃるようですが、何かお家で後処理をされているのでしょうか?
大塩の炭酸水源泉を見た後は、運休区間の駅がどうなっているのか無性に見てみたくなり、会津大塩の駅に向かいました。

会津大塩の駅ホームにこぢんまりとした駅舎。

線路に降りてみます。絶対に電車は来ないと分かっていても、ホーム下の退避スペースを確認してしまいますが…その必要はないんだ、と嫌でもそう思わされてしまう光景がそこには広がっていました。

ホームが設置されている区間を除き、背丈より高い雑草が壁を作っていて、そこから臨めたであろう田園風景は全く見えない。

怖い。
とっさにそう思いました。
際限なく侵食してしまう雑草の生命力が怖い。何も見通せない不透明性が怖い。運休という言葉に潜んだ不可逆的となる可能性が怖い。そんなところでしょうか。
さて、相変わらず只見線と道路(沼田街道)は寄り添ったり交差したりしながら仲睦まじく山あいの道を進んで行きます。

そして、只見駅に到着。駅の大きさ、雰囲気ともにどこか会津川口に似ています。ちょうど乗り合いバスが駅前にいました。
…ということは電車が来てる?
この間散々近接での只見線は撮りましたが、せっかくですのでホームから見ようと入場料を払って行こう…としたところが、事情を話したところ、お金は要りませんよとのことでお礼を言ってホームに潜入。

いらっしゃいました。「小出」行きという表示をつけて。

束の間の休息を楽しんでいるようにも見えます。

路線が遠方へと伸び、遮るものは何もない。こんな当たり前の光景でも、実は人の手がかかっていたりするのでしょうか。それとも、本数が少ないながらも毎日定期的に運行されていることが、自然の脅威を知らず遠ざけているのでしょうか。
只見駅を後にして、さらに新潟方面、小出ICを目指します。会津若松側とはもう片方の只見線運行区間ですが、じつはこちら側にも絶景が広がっています。沼田街道は山を登り標高の高いところを通ることになりますが、その最高点付近で山に囲まれた渓谷や湖を見下ろす様が絶景。緑の山に深い碧の水のコントラストには、日本にはこんな絶景もあるんだなと感心しきり。車を停めて写真を撮らなかったのが残念です。ただ、路肩もほとんどない山道だったので仕方ないことではありますが…。あ、そうそう、途中1ヶ所ビューポイントの新設工事が行われているのを見かけました。

廃止駅となった田子倉から、只見線は長い長いトンネルを抜け、新潟県魚沼市に突入。
魚沼と言えば、コシヒカリですよね。これを逃す手はないので、目についた道の駅いりひろせに立ち寄りJA北魚沼のコシヒカリを購入。
さらにその先の道中で農家販売の新米コシヒカリもゲットできたのでラッキー!だったのですが、これで総計購入量3種10kgですよ。お土産分も入れると17kg。今回の旅行って産直の米を買いに行くのが目的だったっけ?(笑

只見線の駅もこの辺りでは越後○○という駅名が多くなり、奥会津の面影はなし。会津側と越後側では同じ路線と言ってもなんとなく雰囲気が違うような気もします。なんて言うんだろうな…会津は「秘境」、越後は「穀倉」という印象でしょうか。
ということで、只見線沿線の旅は今回でコンプリートです。
只見線という路線を軸にして、絶景、写真、厳しい現実、美味しいもの…想像以上に記録と記憶に残る良い旅行になりました。