昨年買ったダリケーの「カカオ豆からチョコレートてづくりキット」はそんなものの一つ。奇しくも今年サロンデュショコラでクローズアップされてたことの一つに「Bean to Bar」があります。つまり、カカオ豆からタブレット(板チョコ)まで一貫し、随所にこだわって生産する、ってことですね。このキットはカカオ豆からチョコレートを作る過程を家庭で体験できる貴重なもの。チョコレート好きとしては、豆からチョコレートを作るという作業を一度はしてみたい…よね?ね?
キットの中身はカカオ豆とシリコン型、そしてガイドブックとなる小冊子のみ。時間がある時にやろうと思っていたらとっくに賞味期限が切れてしまいました。季節が一巡するのを前に、これはイカンと一念発起して作ることに。

作るの当たっては、まずカカオ豆をすりつぶせるサイズのすり鉢がなかったので、それを購入。百均にないかな〜と思っていたのですが、せっかくなんでオシャレなものを買おうかとまさかの180°方向転換。
これならヤマイモをすってそのまま食卓に出してもおっしゃれ〜♪いやぁコダワリのキッチングッズはテンション上がるわぁ…ってなんの話だっけ?(笑 そうそう、チョコレートを手作りするんでした。
1. カカオ豆を洗う

まずは豆を水洗いします。米を研ぐみたいにシャッシャッと。結構濁った水が何度も出てきます。水が濁らなくなる目安5分くらい…とのことでしたが、完全に透明にはなりそうになかったので、10分くらいでしょうか、水気を切ったらふきんでよく拭きます。
2. カカオ豆を炒る

水気を取り除いたカカオをフライパンでじっくりと炒ります。焦げないように弱火で…だんだん良い香りが立って粒がぷっくりと太ってきます。どうかな?と感じたら一粒とって冷ましてから割ってみます。パキッと割れたら完成。完成の頃、フライパンの上でも、大きな亀裂音を立てるやつが出てきます。これでちょうど良いのか?炒りすぎなのか?わかりませんが。ここまでだいたい20-30分くらいだったでしょうか。
3. 皮をむく

豆を覆う皮をむきます。皮に傷をつけるとパリッとむけて、ちょっと大きくて皮の厚い落花生みたいです。でもなんだか、皮をむいた後も薄皮がついているみたいです。

あまり気にせず中身と一緒にしてしまいましたが。
4. 豆を砕く

よく焙煎した豆はすりこぎの先で叩けば砕けます。ただ、ここでやらなければいけないのは、すっかり粒が見えなくなるまですり潰すこと。ゴマでも油が出るまでするのは結構骨ですが、カカオ豆の場合油脂分が多いのかその性質のせいなのか、完全にすり潰すとすり鉢の底にべったりと張りついていきます。で、最終的には、

こんな状態に。メレンゲの泡立て完了で、ボウルをひっくり返しても落ちてこないって表現がありますが、カカオ豆のすり潰し完了も同じですね。ただし形態は全く違うけど。
5. 湯煎をして豆をする

砕いた豆が完全にそこに張り付きもうにっちもさっちも行かない状態になれば、湯煎をして溶かしながらすり混ぜます。湯にすり鉢の底を当てるとだんだんじんわりと溶けてきますが、その様子はもうチョコレートを思わせるもの。でも見た目にもまだまだ粒が粗いのがわかります。
6. 砂糖を加える

少し滑らかになれば、砂糖を加える時。ここでは80gの豆に30gの砂糖です。さー、こっからが勝負。砂糖と一緒にひたすらすり混ぜます。そうすると、だんだん液体状に、サラサラになってきます。あんな豆と砂糖だけのものが、不思議!
7. さらにすり混ぜる

すって、すって、すって、吐いて…じゃなくて、すり鉢でするのね。チョコレートは常温では固まるから、かたくなったなーと思ったら湯煎にかけて柔らかくして、ってのを繰り返す。知ってたけど、結構苦行だこれ。単純作業なので、ラジオやテレビを観ながらやることをお勧めします。志のある方は英会話とか放送大学の講義とか聴きながらでもいいかもしれませんね。まあ、そもそもこういう作業をしようという人はあんまりいないか。これの作業完了は、ツヤが出たら。…んー。ツヤが出てるといえば出てるけど、よくすった方が美味しいだろうし…という葛藤と共に、1時間半ほどでしょうか?これ以上このすり鉢で細かくすることは難しいかなーと感じた頃、すりこぎを置きました。
8. 型に流して待つ

もう後はスプーンで付属の型に流せばできあがり。ツヤも粘度も普通にチョコレートっぽくなってて、固まるのが楽しみ。最後に型をトントン細かく叩いていると細かい気泡が浮き上がってくるので、それをつぶしたら冷蔵庫へ。
9. 完成。実食

冷蔵庫にしまってから出かけたので、食べたのは4時間後くらいでしょうか。

型からはすんなりと外れ、Dari Kのロゴマークも美しい。

味は、なんともビターで野性味あふれ、豆の特徴がぐわーと広がってくるようです。80gの豆に30gしか砂糖が入ってないというのは、カカオパウダーからココアを手作りする時のことを考えるとかなり甘さ控えめだと思うのですが、砂糖も豆に負けていませんね(この時はきび砂糖を使いました)。ちょうど、エクストラビターやカカオ分70-80%のタブレットを食べた時くらいの苦さ。でも風味が全然違う!美味しい!…んだけど一つだけ問題点があって、それは粒子がまだまだ粗いということ。舌の上でざらっとするので、それが気になります。砂糖を加えてからすり混ぜるのがコンチングで、この過程は機械を使って24hから長いところだと3日から4日間くらい続けるところがあると聞きますから、1時間半程度じゃ全然ダメなのね。それにすり鉢などではなく、乳ばちみたいな凹凸が少ないもので気長にすらなければいけないものなのかもしれない。
作業を終えて…普段口にしているどんなチョコレートでも大変な時間と手間がかかっているんだなあと実感。シンプルなタブレットは、原料次第で味が大きく違ってくるということも納得です。ただ、焙煎とコンチングについては味や食感の決め手となるところでしょうから、単純にカカオ豆の産地や種類で語られるべきものでもないのかな、と思いました。カカオ豆を収穫して発酵させる過程も味に影響すると聞きますから、まだまだ奥深いはずですね。
今回の作業は、豆を洗ってから炒って皮をむくまでに約1時間半、一晩おき翌朝それをすって型に流すまでなんだかんだで5時間くらいかかりましたから、まあ半日〜1日がかりの作業になりますね。子供の自由研究とかにも良いかも。
さすがに一回体験してみればもう十分、と思いますが、今年、イタリアのショコラティエドモーリからカシャーヤというクリオロ種100%のローステッドカカオ(カカオ豆を焙煎して皮をむいただけのもの)が売っていることに気づいたので、これだったらすり潰すだけかぁとか…いやいや、やりませんから!(笑
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そこまでやるとは、頭が下がります。
香りが全然違うんだろうね〜。
もうこうなったらカカオ豆の栽培か(ry
がんばりました。
…っても作ったのはほとんど私ダッタ!!(笑
うーん、実際カカオ農園の経営?運営?から手がけるパティスリーも増えてきてる気がするんだよね。
…出遅れた??w