そして、いつからなんでしょうね、いつの間にかポータブルなゲーム機器でも本格的なサウンドをバックにしたゲームが当たり前の時代になっていました。ゲームに集中しているとじっくり音楽に聴き入るということはないけれど、ふとした瞬間に浮かぶフレーズはもうゲーム音楽と呼ぶにはカテゴリーを逸脱していると思うようなサウンドも少なくありません。
狩猟音楽祭はモンスターハンターシリーズの楽曲をオーケストラによる演奏で楽しむ演奏会ですが、私がその存在を知ったのは去年のこと。それから、また開催された暁にはきっと…と水面下で思っていましたが、何せそのためのアンテナを張っているわけでもなんでもない。毎年開催されると約束されたわけではないそれが今年も開催されるという情報をキャッチし、その先行予約(抽選)に間に合い、たまたま当選したというのは奇跡的なことなのかもしれません。
それでめでたく聴きに行くことができたのですが、会場となる東京国際フォーラムホールAが定員5012人という超弩級な規模であれば、観客がホール入りするのもものすごく時間がかかり…開演20分前に並び始めたものの、実際入場できたのは開演時間間際という、普通のオーケストラの演奏会ではありえない状況が待っていたことにまず驚愕(笑 また、やたらDSを開いている人が多かったり、年齢層が平均的な聴衆層より低く、しかもほとんどが20-40代の成人であったこともある意味異様でした。まるで何かのバンドのライブか、コミケなどのサブカルサミットへの入場口なんじゃないかと錯覚するような。

会場には「英雄の証」のスコアやら(欲しい!)

リオレウスモデルのギターの展示などで期待度もアップ。

さらに、会場でDSを開けば周りにゲーム中のハンターが18人もいるという状況が、なんだかもうおかしくておかしくて。いや、みんなモンハン愛にあふれてる。じゃなきゃここまで来ないよね。
さて、演奏会ですが、演奏は東京シティフィル、MCにモンスターハンターシリーズの辻本P、そしてメインMCにはなんとbayfmお昼の番組であるMUSIC SALAD火曜日担当のウサミス(宇佐美友紀さん)だったということに、個人的にはもうどこまでてんこ盛りなのよーと驚きを隠せずでした。
以下、楽曲リスト。何曲か抜けてるかもしれないし正確な題名は分かりませんが、だいたいこんな流れでした。
千刃セルレギオス
MH4Gで初登場の、今作リリース以前から目玉とされてきたモンスターです。つかみとしては誰もが納得の曲ではないでしょうか。ただ、裂傷を引き起こす鱗がやっかいでイラっとさせられるばかりで、あまり好きなモンスターではありませんね。音楽もあまり思い入れはないかな?
バルバレ
村クエがスタートするのがこの「バルバレ」です。マップが狭くて単純で、クエストに出かけるまでの流れがスムーズなココをメインの拠点として使っているので、格別の思い入れがありますね。弦楽器が刻む上で木管楽器が奏でる落ち着いたメロディが沁み入ります。
ケチャワチャ
MH4で初登場のモンスター。強さとしては微妙ですが、まあコイツが出て来ないのもなんだかないがしろにされているようで寂しいかも。でも、いざ曲を思い出そうとしてもあまり上手く思い出せないっていうか、そもそもあんまり戦ってないんじゃないかっていうか…
モガの村/タンジアの港
MH3Gの曲…前作だってあんなに楽しんだはずなのに、聴かなくては思い出せないのはなんでだろう(笑
ブラキディオス
アップテンポでリズミカルな曲で、まず今回最初にこの曲はオーケストラ向きだなぁと思ったものでもあります。途中で挿入される高い金属音はトライアングルで表現されるのかと勝手に思っていましたが、つり下げ式金属棒のチャイムのようなものを使っていたようです。
ユクモ温泉
モンハンシリーズ初プレイ作であったMHP3、しかも集会所でのスキル強化手段であった温泉の音楽ですから、よーーーーーーーーーく覚えていました。全曲中一番懐かしいかもしれない。ただ、これを聴いて、4からの強化手段が「猫飯」になって良かったなと思いました。なんでかって?だって知らない人とオンラインプレイするのに、強化法だと割り切るにも同じ温泉に浸からなきゃいけないって、なんかイヤです(笑
ここには尺八と中棹三味線ユニットのHIDExHIDEさん登場。HIDEちゃんの方は昔からのモンハンプレイヤーだそうですが、HIDEくんはMHP3からの参戦と、私と同じくらいのゲーム歴で親近感を感じます。
ジンオウガ
MHP3で初登場のジンオウガちゃん。疲労状態になると酔っぱらったおっさんみたいな動きをするのが大好きです。みんなもそこが良いのかわかりませんが、登場以来根強い人気を誇るモンスターであることは間違いないみたいですね。ココでオーケストラにエレキギターが入ったのですが、このギターは「王牙琴」にして欲しかったかなぁ…なんて戯言。いずれにせよロックなモンスターです。
ぽかぽかアイルー村
来月発売される同タイトルのゲームから。アイルー村シリーズはどうもハンティングアクションからかけ離れているのでやろうとは思わないんだけど、曲目自体はモンスターハンターシリーズのテーマソングである「英雄の証」をアレンジしたものなんだなぁということがよくわかりました。オリジナル作とは違う癒され系な音楽に仕上がっています。狩りが苦手な女子向き?
モンスターハンタークロスからベルナ村と古代林
11月発売予定のモンスターハンターXから先行初演、だそうです。
生命ある者へ
これはなんだったですかね?MH3だったかな。いい曲だったと思ったんですが、未プレイなので状況がよくわからない。
ラギアクルス
前曲からの流れでMH3初登場モンスターのラギアクルス。MH3Gで戦いましたが水陸両用な生き物で、海の中での戦闘は慣れるまで骨が折れたんだったよね。MH4では登場していないから懐かしいなぁ。ちょうどこの翌年が辰年だったんだっけ。
ポッケ村のテーマ
これも未プレイのMH2より。
クシャルダオラ
管楽器がパーン!ブワーン!とぶっぱなす威勢の良い曲が多い中、この曲は珍しく弦楽器のメロディラインが主役になれる曲です。ほとんどのモンスターのテーマソングや後述「英雄の証」などはブラスバンドアレンジでも行けそうな気がしますが、この曲に限っては弦楽器がいないと話にならないと思います。線が細く動きが速いモンスターであり、戦いのステージが氷海など寒い場所が多いので、スピーディで澄んだ曲調にしているのではないでしょうか。
テオ=テスカトル&ナナ=テスカトリ
テオとナナは見た目が百獣の王ライオンをイメージしていると思われ、楽曲もまさにテオ(帝王)といった風格です。ま、あんまり得意なモンスターではないけどね。向かって来たときアップになる鬼のような形相もコワいし。MH4/4Gではテオしか登場しませんが、前作ではナナというつがいの(テオは♂)モンスターが存在し、一定の人気があった模様。なお、テスカトルとテスカトリ、学名なんでしょうか。性別で呼び分けるのに妙なリアリティを感じてしまいます。
眼光/リオレウス
リオレウス亜種の防具、リオソウルシリーズには3Gも今作もおせわになっているのに、その割にあまり曲には思い入れないかも、と思いました。主題があまり目立たず、比較的地味なのかもしれません。
モノブロス
コイツも曲というより、甲高い咆哮ばかりが気になって…。
ゴグマジオス
前回のエントリーで書いたばかりですよ。実質MH4Gのラスボス扱いのやつです。この曲を聴いている途中に急に苦しくなりました。曲調が重苦しいということもあるけど、ソロで何度も挑戦しては散り、挑戦しては時間切れになり、気が遠くなる位繰り返したあの緊張感がよみがえって来たんだろうと思います。その証拠に、次の曲になったら何事もなかったかのように気分が回復しましたから。音楽が内包する記憶の力ってすごいです。ちなみにラスボス系ってコードが複雑で旋律は決して明快というわけではなく、これ譜面を見るだけでなくプレイして音を聴いていなきゃ相当難曲なんじゃないかなあと思ったのですが、そこはプロですもんね。そんな心配をすることはないか。スクリーンには流れませんが、私には見えましたよ、ゴグマジオスが空中に飛んだ様が。
英雄の証
言わずと知れたモンスターハンターシリーズのテーマソング。CMなどでもよく流れていますし、よく聴くとテレビ番組のサントラとしても使われていたりします。ゲーム中ではモンスターに超強攻撃を加えたときなど、クライマックスで使われますが、実は前曲でテーマのゴグマジオスに大砲を使って高密度滅龍炭をヒットした時にも流れる、という隠れたつながりがあったのです。この曲が流れればもうクリア目前と思って間違いないため、初戦の死闘を思い出したファンも多かったのではないでしょうか。演目リストはこの曲で最後だったのですが、観客の熱気も最高潮でした。
*****アンコール*****
MHP3から2曲
すみませんよくわかりませんでした…
ダラ・アマデュラ
千剣山とクライマックスの2曲構成。この曲もいかにも戦闘曲といった勇ましい曲です。シリーズ最大の大きさを誇るモンスターだけあってPTプレイのし甲斐があるものの一つですが、勇壮で、何かに立ち向かうという状況にぴったりです。
旅立ちの風
MH4村クエのエンディングテーマ(だったと思う)。あまり聴く機会がないのでこんなだったかなぁと思い返していましたが、よく聴くと、前曲ダラ・アマデュラのテーマを含んだ曲になっており、集会所のボスとしての存在を暗示しているんだということに気づきました。
全体としては曲目の解説のMCあり、プロデューサーと演奏家とのモンハントークもあり、あまりにも時間が短く感じたため終わるの早すぎない?と思いましたが、ふと時計を見ると開演時間2時間超え。これはオーケストラとしてはオーソドックスな長さですから(むしろ長いほうかも)、充実ぶりがうかがえますよね。アンコールの拍手もなかなか鳴り止みませんでしたし、こんなに盛り上がるクラシック・コンサートもなかなかめったに出会えないですよ。
もう一つ印象的だったのが、ときどきスクリーンに映し出される演奏家の方々に笑顔が多かったこと。これも普通のオーケストラコンサートではまず見られない光景です。東京フィルの方々のどのくらいが狩人かはわかりませんが、プレイヤーならなおさら、演奏には熱が入ったでしょうし楽しかっただろうなぁ。うらやましいことです。機会があったら演奏側に回りたいと思います。もちろんアマチュアですけどね。